【コラボ企画】2023年秋の体験イベントレポート「ダンス×合気道」合気道編
おけいこタウンでは、さまざまなスキルを持つ先生が活躍しています。今回は、秋の体験イベントとして柳川市で「ダンス×合気道」の異色コラボを実施。イベントを見学したレポーターが、当日の様子や先生のお人柄をお届けします。
筑邦銀行柳川支店と合気道祥平塾、柳川高等学校ダンス部がおけいこタウンと連携し、地元の小学生と保護者も参加できる合気道のおけいこの様子と講師と生徒さんのインタビューをお届けします。
【後編 ダンス編の記事】
【コラボ企画】2023年秋の体験イベントレポート「ダンス×合気道」ダンス編
「ダンス×合気道」のイベントレポート 合気道編
今回の体験イベント「ダンス×合気道」の会場は筑邦銀行柳川支店。西鉄柳川駅から歩いて行く途中には、多数のうなぎ店や川下りの「どんこ船」が目に入り、柳川らしさを感じることができます。1階のフリースペースには、マットが敷き詰められた即席の道場が完成され、真っ白な道着を着た合気道祥平塾の高砂道場、柳川道場のメンバーがイベントの準備を進めていました。
柳川市内の小学生と保護者も加わり、イベントスタート。まずは柳川高等学校ダンス部のメンバーによるストレッチが行われました。心地の良いダンスミュージックに合わせて体を動かすことで、参加者の緊張も一気にほぐれたようです。
今回の参加者は合気道に初めて触れる小学生ばかり。合気道とは、そもそもどのようなものなのかについて、高砂道場の先生から説明がありました。
合気道は空手や柔道と同じように全世界に広まっていること、約100年前に植芝盛平先生が創設されたことなどを基礎知識として紹介。合気道は別の意味では「愛気道」とも言い、戦わないことが本質だそうで、「ぶつからず相手をかわして抵抗をなくす運動で、子どもから高齢者までが性別に関係なく楽しめる護身術です」と先生は話します。子どもたちに大人気のアニメを例に挙げ、そのアニメの中でも合気道の技が出てくること、登場人物たちと同じように集中力や呼吸法を鍛錬していくものとわかりやすく説明してくれました。
「百聞は一見にしかず」ということで、柳川道場に所属している小学生と中学生により演武が行われました。まずは基本の挨拶、礼から始まり、「片手取り」をしたあと「呼吸投げ」で終わり、その後も「隅落とし」や「四方投げ」などの合気道の技を実演してくれました。
柳川道場の大人による迫力ある演武が次々と行われ、会場も熱気に包まれていきます。その後は高砂道場の先生が、「片手取り」「諸手取り(もろてどり)」などを一つひとつ説明しながら、ゆっくりとした動きで解説していきます。
スポンジでできた短刀も登場し、相手が刀で攻めてきた場合の身のかわし方などを、熱を込めて演じてくれました。
一通りの合気道の演武を見終えたあとは、いよいよ参加者による体験が始まりました。まずは刀で攻められたときのよけ方から練習することに。スポンジの剣が配られると、子どもたちは見様見真似でチャレンジスタート。
「相手が上から降りかかって来たときはどうするか」「刀で突いて来たときはどうするか」といった護身術を、メンバーが手を添えながら、体の向きや手の動きを丁寧に解説していきます。参加者は体で一つひとつの動きを覚えて、実演していきます。
稽古の最後には呼吸法の練習も行いました。合気道では呼吸が大切と言われ、呼吸力を養成するために呼吸法があるそうです。まずは二人組になり正座して向かい合います。両手を出して、技を受ける方に手首をつかませることから始まり、相手の力をうまく使いながら落とし込み、両方の手で相手の体全体を押さえます。
道場のメンバーと参加者がペアになり、「両手を出して」「指先を上に向けて」などと丁寧に声かけをしながら、手の位置や向きを確認し、座技呼吸法を練習します。実際に技を受けて倒れ込むと、参加した保護者も初めての体験に驚き、会場は笑いに包まれていました。
今回のイベントに参加した柳川市内の小学6年生の女子は、「合気道は初めて体験したけれど、すごく楽しかった。難しいけど、またやってみたい」と笑顔を見せてくれました。
先生へのQ&Aコーナー(下川正彦先生)
【下川正彦先生のご紹介】
柳川道場の道場長。合気道歴45年。七段位。柳川市出身。
——柳川道場について教えてください。
柳川道場は、2024年に40周年を迎える伝統のある道場です。現在は小学生、中学生を含む20人ほどが活動しています。年齢も経歴もさまざまな方たちがいますが、優しい雰囲気のある道場だと思います。
——合気道の魅力とは何ですか?
空手や柔道など、さまざまな武道がありますが、合気道は人とのつながりを大切にする「和合(わごう)」の心を学べます。勝ち負けを競うものではなく、試合もありません。型稽古が中心ですが、級や段位が上がると一人ひとり違う魅力が出てきます。やってみないとわからない深い魅力があります。
——子どもの習い事としてどういうところが魅力だと思いますか?
「礼に始まり、礼に終わるのが合気道」です。靴をそろえるところから始まり、道場に入るときは必ず礼をします。受け身を覚えることで、けがをすることも少なくなります。また呼吸法を身につけることで、落ち着きのある子どもに育つように感じます。試合はありませんが、練習を重ねて行くと帯の色が白、赤、黄、緑とどんどん黒帯に近づいていきます。目標の色を目指して、子どもたちは頑張っています。
——子どもの成長にどのような効果があると思いますか?
優しさや思いやりの心が自然と身についていきます。受け身をしたり、投げたり、大人と関わったりする中で、相手の気持ちを考えられるようになるのでしょう。逃げるなどの危険を察知する判断力も身につくように感じます。
——今回のイベントの感想を教えてください。
合気道を体験するのは初めての方ばかりで、最初は緊張されていましたが、楽しそうに稽古に取り組んでくれました。笑っている姿をたくさん見ることができて、やってよかったと思いました。
——これから合気道を始めたいという方にメッセージをお願いします。
合気道は学ぶ内容が難しいところもありますが、まずは体を一緒に動かしましょう。礼儀作法や護身術も身につき、思いやりの心も育ちます。習い事の一つとして合気道をぜひ取り入れてみてください。
先生へのQ&Aコーナー(ハブラケン・レオニーさん)
【ハブラケン・レオニーさんのご紹介】
高砂道場のメンバー。九州電力の社員。オランダ出身。
——合気道を始めたきっかけは何ですか?
武道やアジアの文化に興味があり、合気道を始めました。試合がないのも、自分に合っていると思いました。合気道には腕力よりも技術が重要で、その習得にやり甲斐を感じています。
——合気道の魅力は何ですか?
合気道は体幹の強さや柔軟性、バランス、タイミングを養うのに役立ちます。また姿勢や呼吸の改善にもつながります。体力づくりだけではなく、頭がスッキリしたり、プレッシャーがかかる場面でも落ち着いていられたりします。「誰が一番か」を証明するのではなく、みんなで協力して技を上達させるところも魅力です。運動、柔軟性、マインドフルネスが合わさった素晴らしい武道だと思います。
——どのような方に合気道はおすすめですか?
護身術はもちろんのこと、真摯な攻めや安全に転ぶための技(受け身)を学びたい方におすすめです。心身の柔軟性を保つことに興味がある方もぜひ習い事として取り入れてみてください。
——柳川市の好きなところを教えてください。
柳川市は水の都で、小さな川やお堀がたくさんあり、水路の多いオランダの街並みを思い出します。オランダ料理にはうなぎの燻製があり、クラッカーや白いパンに挟んでよく食べます。オランダのうなぎ料理よりも柳川の蒸したうなぎの方がおいしくて好きです。
——今回のイベントの感想を教えてください。
合気道を教える機会を持ててうれしかったし、子どもたちの熱意が感じられてとても楽しかったです。新しいことに挑戦するのは、いつも勇気がいることですが、参加者の皆さんは本当によく頑張っていました。
——これから合気道を始めたいという方にメッセージをお願いします。
見学に行ったり、稽古に参加したりして実際に体験してみてください。合気道を言葉で説明するのは少し難しいので、実際にやってみるのが一番です。
【後編 ダンス編の記事】
【コラボ企画】2023年秋の体験イベントレポート「ダンス×合気道」ダンス編