【九州版】個人事業主が開業資金を準備するために利用できる助成金・補助金一覧
「個人事業の開業に向けて準備をしているけど、開業資金に不安がある」「できるだけ開業資金の補助・助成を利用したい」という個人事業主は多いのではないでしょうか。この記事では、個人事業主が開業資金として申請できる助成金・補助金について紹介します。特に、「地方自治体による創業者向け補助金」については、九州地方で開業の準備を進めている人におすすめの制度ですので、ぜひご参考にしてください。
給付金や貸与金、開業以外での助成金・補助金については別の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はこちらの記事もぜひご一読ください。
【2022年最新版】個人事業主向け給付金まとめ
【2022年最新版】個人事業主・フリーランス向け助成金・補助金まとめ
【2022年最新版】個人事業主向け貸与金・融資制度まとめ
開業資金はいくら必要?独立にあたって準備しておきたい金額とは
日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」によると、開業費用については500万円未満が最も多く42.1%、次いで500万円~1,000万円未満が30.2%でした。開業費用の平均値は941万円と、調査開始以来最も少なかったようです。
起業をするだけなら開業届を出せばいいので開業費用は必要ないといえますが、事業が軌道に乗るまでの運転資金は準備しておきたいところです。特に、飲食業や小売店等の店舗を必要とする業種は初期投資が大きくなる傾向にあるので、3か月〜半年分の運転資金を目安として開業資金を準備しておきましょう。
個人事業主が開業資金を準備するために利用できる助成金・補助金一覧
ここからは、個人事業主が開業資金を準備するために利用できる助成金・補助金についてご紹介します。
上限100万円「小規模事業者持続化補助金」経産省中小企業庁
小規模事業者持続化補助金は、ポストコロナを踏まえて、人との接触機会を減らす感染症対策を踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援する制度です。補助率3/4以内で最大100万円の補助金が交付されます。
この制度は開業してすぐの個人事業主(創業予定者は申請不可)でも申請できる制度で、2期目以降の場合は確定申告書等の提出が必要ですが、創業1年未満の場合は開業届と直近の貸借対照表、損益計算書を用意することで申請可能です。ただし、今後の経営計画および補助事業計画書の作成が必要なことや、申請しても審査に通らなければ補助金が給付されないこと、申請から給付まで時間がかかることは覚えておきましょう。
上限450万円「IT導入補助金」経産省中小企業庁
IT導入補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、ITツール導入等による生産性向上に取り組む中小企業等を支援する制度です。補助率2/3以内で最大450万円(テレワーク対応類型は上限150万円)まで補助金が給付されます。
IT導入補助金は開業してすぐでも申請することができるのでご紹介しましたが、申請に必要な書類を揃えることが難しく、また審査も厳しいため、補助金の受給はあまり現実的ではありません。
最大760万円「地域雇用開発助成金」厚生労働省
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)は、雇用情勢の厳しい地域(求人の少ない過疎化地域)などで事業所の設置・整備を行い、対象労働者を3人(創業時は2人)以上雇い入れた事業主が対象の制度です。つまり、創業または事業拡大に伴う雇用を行った場合に助成金が申請できる制度ということです。
対象となる費用
対象となる費用は、以下をすべて満たす施設または設備にかかる費用です。
- 雇用拡大のために必要な事業の用に供されるものであること
- 計画期間(最大で18か月間)内に設置・整備が行われるものであること
- 1点あたり20万円以上で、合計額が300万円以上であること
助成額は設置・整備に要した費用や対象労働者の増加人数などに応じて、以下の表の額が1年に1回(最大3回まで)支給されます。
対象労働者
対象労働者の主な要件は、このとおりです。
- 雇い入れ日時点で、地域に居住する求職者であること
- ハローワークなどの紹介で雇い入れられた求職者であること
- 雇い入れ当初から、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者であること
- 継続して雇用する労働者として雇い入れられること
受給に提出する書類については2種類あります。まず、「計画書」等の必要書類を管轄労働局長に提出します。
その後、合計額300万円以上の事業所の設置・整備を行い、要件を満たす労働者を雇い入れて3人(創業の場合は2人)以上増加させたうえで、「完了届(第1回支給申請書)」などの書類を提出することが必要です。
対象地域は3つの地域に分かれており、以下が助成金の対象地域となっています。
- 同意雇用開発地域
- 過疎等雇用改善地域
- 特定有人国境離島等地域
地方自治体による創業者向け補助金
ほかにも地域課題の解決や活性化を目的として、地域ごとでさまざまな補助金が用意されています。この記事では、令和3年度に実施された九州地方の支援金・補助金をまとめましたので、要件や対象経費等の詳細は各HPをご参照ください。なお大分市の「大分市創業者応援事業補助金」では令和4年度の募集が発表されましたが、他県については支援金・補助金の実施が決まっていないのでご了承ください。
福岡県「福岡よかとこ企業支援金」
福岡県内で新たに起業する方、事業承継(第二創業を含む)する方を対象とした支援金です。
起業等に要する対象経費の1/2を補助率として最大200万円の支援金が給付されます。
熊本県「スタートアップ補助金」
熊本県では、新たなビジネスを生み出す人材育成に取り組んでおり、技術・サービスに高い将来性が見込める起業の促進を支援しています。こちらは起業等に要する対象経費の1/2を補助率として最大100万円の支援金が給付されます。
長崎県「長崎県創業支援金制度」
長崎県では、地域課題の解決に資する社会的事業の創業予定者を対象として必要経費の一部の補助、伴走支援を行っており、必要経費の1/2を補助率として最大200万円の支援金が補助されます。
大分市「大分市創業者応援事業補助金」
大分市では、産業振興および経済の活性化ならびに雇用の創出を図る目的で創業時に必要な初期費用を補助しています。大分市の場合は、必要経費の1/2(女性・シニアの方は2/3)を補助率として最大100万円の支援金が補助されます。
必要に応じて融資制度の利用も検討する
また、助成金・補助金で開業資金が準備できなかったとしても、足りない部分についてのみ融資制度を利用するという手段もあります。ここでは詳しくご紹介できませんが、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資が受けられる日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、最大3,500万円の融資が受けられる北九州市の「開業支援資金融資」などが開業資金の準備に役立つのではないでしょうか。
助成金・補助金を受け取るために必要な手続きは?申請のコツもご紹介
助成金・補助金を受け取るためには、申請の際に提出する書類がポイントになります。特に、事業計画書や補助金の使用目的を記入する欄があれば、事業の優位性や将来性をアピールできるチャンスなので、できる限り詳細に記入しましょう。また、申請する制度によっては面接を行うものもあるので、書類を記入する際に考えたことがきちんと伝えられるように練習しておくことをおすすめします。
まとめ
この記事では、開業資金として準備しておきたい金額や、個人事業主が開業資金として申請できる助成金・補助金について紹介してきました。開業資金は運転資金の3か月〜半年を目安に準備することを意識し、助成金・補助金の申請を行う際は、事業計画書をきちんと作成して、事業の将来性をアピールしましょう。
おけいこタウンではこのほかにも、九州を中心に活動している個人事業主に役立つ給付金や貸与金に関する情報を発信していますので、気になる記事があれば参考にしてください。