【2022年最新版】個人事業主向け貸与金・融資制度まとめ
新型コロナウイルス感染症拡大により、売上減少の影響を受けた個人事業主は資金繰りに苦しんでいるのではないでしょうか。そこで今回は、2022年現在において個人事業主が申請できる貸与金・融資制度についてまとめました。
給付金や補助金についての情報も別の記事でまとめていますので、気になる方は下記の記事をご覧ください。
【2022年最新版】個人事業主向け給付金まとめ
【2022年最新版】個人事業主向け助成金・補助金まとめ
個人事業主が融資を受けるメリット・デメリット
まずは、個人事業主が融資を受けるメリットとデメリットをご紹介します。
個人事業主が融資を受けるメリット
給付金や補助金よりも条件がゆるい
給付金や補助金を申請するためには売上が30%以上減少していることや、機械装置などのへの設備投資が要件になりますが、新型コロナウイルス感染症のために設けられた融資制度であれば売上高が5%減少していることや返済に困っていることなどを融資の要件としているため、比較的ゆるい条件で運転資金を準備することができます。
金利が低く設定されており、担保と保証人は不要
今回設けられている融資制度は、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した個人事業主を対象としているため、金利が低く設定されていることも特徴です。利用する制度によっては、担保と保証人が不要なのも助かるポイントでしょう。
個人事業主が融資を受けるデメリット
将来的に返済が必要
融資のデメリットは返済が必要なことです。これは当然ではありますが意識しておきたいことで、給付金や助成金・補助金が受けられるのであれば、そちらを優先して利用することをおすすめします。日本政策金融公庫を利用する場合は、資金使途が運転資金や設備資金に限定されているため、生活費として使用する場合は生活福祉資金の「緊急小口資金」や「総合支援資金」を利用しましょう。
融資にあたって必要な手続きが多い
給付金や助成金・補助金でも同様ですが、融資申込みにあたって、売上の減少や事業の存在を証明する目的として、(新規申込みの際には)直近2期分の確定申告書や事業概要、許認可証のコピーなどを準備する必要があります。また、融資の申込みにあたっては面談が必要で、資金の使い道や事業状況(計画)を伝えなければいけません。
個人事業主が申請できる融資制度一覧
ここからは、個人事業主が申請できる融資をご紹介します。それぞれの融資によって特徴が異なるため、要件を確認した上で自身の状況に合った貸与を受けましょう。
社会福祉協議会「生活福祉資金の特例貸付制度」
まずは、個人事業主が生活費に使うことができる融資です。こちらは社会福祉協議会が実施している貸付制度です。特例貸付制度の特徴は使い道が生活費に限定されていることです。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯を対象に、緊急小口資金として20万円を上限に貸付が受けられます。
緊急小口資金の融資を受けてなお生計維持が困難な場合は、総合支援金として、生活の立て直しまでの一定期間(3か月)の生活費として月20万円(計60万円)を上限に追加で借りることができます。緊急小口資金、総合支援金ともに無利子で、保証人は不要です。申込み期限は2022年3月末まで(初回貸付)です。
日本政策金融公庫「コロナ特別貸付」
続いて、事業の運転資金、設備資金として使うことができる融資です。こちらは日本政策金融公庫「国民生活事業」が実施している制度で、新型コロナウイルス感染症の影響で最近1か月の売上が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少した個人事業主は8,000万円のうち6,000万円を上限に当初3年間は実質無利子)まで無担保で融資を受けられます。また個人事業主については、原則として保証人は不要です。
実質無利子とは、日本政策金融公庫の基準金利(2021年3月時点では1.11%)から-0.9%の部分(1.11%-0.9%=0.21%)に対して、中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることにより、当初3年間が実質無利子になるということです。
日本政策金融公庫「セーフティーネット貸付」
売上の減少実績がなくても、個人事業主が融資を受けられる制度もあります。それが、日本政策金融公庫が実施している「セーフティーネット貸付」です。社会的な要因による一時的な業況悪化により、資金繰りに著しい支障を来している人または来すおそれのある人が対象となっているため、売上の減少幅に関係なく融資を受けることができます。
融資上限額は4,800万円で、金利は基準金利(2021年12月時点では1.81%、貸付期間や担保の有無等により変動)によって異なります。使い道については、企業維持上緊急に必要な設備資金及び経営基盤の強化を図るために必要な運転資金に限定されています。
日本政策金融公庫「コロナ資本性劣後ローン」
事業再生に取り組む人だけでなく、これから事業を始めようと考えている個人事業主も融資が受けられる制度が、日本政策金融公庫が実施している「コロナ資本性劣後ローン」です。融資上限額は7,200万円で、融資後3年間の金利は0.50%、3年経過後は毎年直近決算の業績に応じて、0.5%〜2.95%の金利が適用されます。無担保・無保証人で融資が受けられます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた次のいずれかに該当する人が対象です。
- J-Startupプログラムに選定された人または独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けた人
- 中小企業再生支援協議会の支援を受けて事業の再生を行う人または独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合の関与のもとで事業の再生を行う人
- 上記1及び2に該当しない人であって、事業計画書を策定し、民間金融機関等による支援を受けられる等の支援体制が構築されている人
個人事業主が融資を受けるためのポイント
現在は新型コロナウイルス感染症の影響によって売上が減少した事業者を救済する意味で、融資が比較的通りやすくなっているといわれていますが、面談に備えて書類や事業計画書はきちんと準備をしておきましょう。
必要な書類を揃えること
融資を申込む際には、直近2期分の申告決算書や設備資金を購入する際の見積書などの準備書類があるため、準備できるものだけでも事前に用意しておきましょう。融資を相談する際に、今後必要な書類について案内がありますが、できるだけ早く融資を受けるためには、書類を早く提出することが必要になるからです。
事業計画を綿密に練っておくこと
日本政策金融公庫で融資を受ける場合は、資金の使い道や事業の状況などを聞き取る面談があります。なかなか見通しが立たない状況ではありますが、その中でもどのようにして売上を立てていくのかを伝えて、自分に返済能力があることを伝えましょう。
まとめ
今回は、個人事業主が申請できる融資制度についてご紹介してきました。どの制度にも要件が設けられているため、自身が利用できる制度がないかしっかりと確認してください。また、融資を受ける前に給付金や補助金が受けられないかもあわせて確認しておきましょう。おけいこ先生では、他にも個人事業主・フリーランスに役立つ記事を多数掲載しているので、気になる方は是非ご一読ください。