起業のための自己資金が少ない人がまずやるべきことは?
ぜひとも実現したいビジネスがある!夢を仕事にしたい!とはいえ、起業には自己資金が必要というイメージも強いですよね。資金なしでも、あるいは低資金でも起業するにはどのような方法があるでしょうか?やみくもにお金を集めるのではなく、まずは起業にはどのような費用がかかるのかを知りましょう。そして、必要な資金を調達する方法を学び、ご自身にとって最適な方法を選ぶことが大切です。
どんなお店・事務所を開くかで必要な資金はこんなに違う
例えば、自宅の一角でフリーランスとして事業をスタートする場合と、小売店や飲食店を開業する場合では、起業のために必要な資金が大きく違ってきます。どのような資金が必要かを知り、資金なしでも起業できそうかどうか考えましょう。
▼自宅を事務所として起業するのに必要な費用
今住んでいる自宅の一角で事業を始めたい場合、必要な資金の目安は次の通りです。
【自宅で起業する場合に必要な費用の目安】
内容 |
費用の目安 |
パソコン関連 |
10万円~ |
必要なソフトウェア |
5千円~ |
インターネット関連 |
毎月 5千円~ |
消耗品 |
5千円~ |
広告宣伝費 |
1万円~ |
合計 |
12万5千円~ |
▼先生として教室を開くのに必要な資金
先生として教室運営を始めるなら、次のような資金が必要でしょう。自宅の一角を教室として使用する場合や、貸会議室を都度借りる場合など、状況によって必要な資金も異なります。
【先生として教室運営を始める場合に必要な資金】
内容 |
費用の目安 |
物件取得費 |
100万円~ |
内装工事費 |
80万円~ |
什器・備品 |
60万円~ |
教材費 |
20万円~ |
パソコン関連 |
10万円~ |
必要なソフトウェア |
5千円~ |
インターネット関連 |
毎月 5千円~ |
水道光熱費 |
毎月 4万円~ |
消耗品 |
5千円~ |
広告宣伝費 |
3万円~ |
合計 |
278万5千円~ |
▼小売店を開業するのに必要な費用
お店で消費者向けに商品を販売する小売店を開業する場合、次のような資金が必要となります。小売店で成功するためには、立地が良い物件を取得すること、良質の商品を仕入れること、広告宣伝をかけることが必要です。また、スタッフを雇うことになれば、人件費もかかります。
【小売店を開業する場合に必要な資金】
内容 |
費用の目安 |
物件取得費 |
200万円~ |
内装工事費 |
200万円~ |
什器・備品 |
100万円~ |
商品仕入 |
300万円~ |
パソコン、必要なソフトウェア、プリンタ、インターネット契約費など |
20万円~ |
水道光熱費 |
毎月 4万円~ |
消耗品 |
3万円~ |
広告宣伝費 |
30万円~ |
合計 |
857万円~ |
注意 |
他に人件費、社会保険料などがかかる場合もあり |
▼リラクゼーションサロンを開業するのに必要な費用
ホームサロンを開業し、経営者が施術者もかねる場合と、店舗を借りて施術者を雇用して運用する場合で、必要な資金が大きく異なります。
【リラクゼーションサロンを開業する場合に必要な資金】
内容 |
費用の目安 |
物件取得費 |
200万円~ |
内装工事費 |
250万円~ |
什器・備品 |
100万円~ |
パソコン、必要なソフトウェア、プリンタ、インターネット契約費など |
20万円~ |
水道光熱費 |
毎月 10万円~ |
消耗品 |
15万円~ |
広告宣伝費 |
30万円~ |
合計 |
625万円~ |
注意 |
他に人件費、社会保険料などがかかる場合もあり |
必要な資金はどうやって集めればいい?
日本政策金融公庫の創業融資をはじめ、自己資金なし、あるいは低資金での起業で、まだ業務実績がなかったとしても受けやすい融資制度をご紹介します。
▼新創業融資制度(日本政策金融公庫)
新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人が、無担保・無保証で利用できるのが「新創業融資制度」です。
原則として、まったくの自己資金なしで融資を受けることはできません。新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を1期終えていない人は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できることが条件です(一部、特例もあり)。
融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。資金の使い道は、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金に限られます。
▼中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)
認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けて新事業分野の開拓を行う事業主、または、「中小企業の会計に関する基本要領」・「中小企業の会計に関する指針」に従った会計処理を行う事業主は、「中小企業経営力強化資金」の融資を受けることができます。
自己資金に関する要件はありませんが、上記の条件を満たす必要があるため、制度について事前によく確認しておきましょう。
▼挑戦支援資本強化特例制度(日本政策金融公庫)
「挑戦支援資本強化特例制度」は、ベンチャー企業やスタートアップ企業、新事業展開などに取り組む事業主のための制度です。
自己資金に関する要件はありませんが、地域経済の活性化にかかる事業を行うことや、税務申告を1期以上行っている場合は原則として所得税等を完納していることなどの条件があります。
▼制度融資(信用保証協会制度融資)
地方自治体・金融機関・信用保証組合が連携して融資する「制度融資」は、低金利で返済期間が長く設定されています。自己資金なしで融資を受けることも可能です。
都道府県によって、融資を受けられる要件や融資限度額、申し込みの流れが異なるため、起業を予定している都道府県の制度を確認してください。
起業には資金調達以外にもやることがいっぱい!
起業にあたり、資金調達も大事なことですが、それ以外にもやるべきことがたくさんあります。どのくらいの資金が必要なのかを把握するためにも、起業のための行動を、順を追って進めていきましょう。
▼ビジネスモデル・事業計画を作る
例えば先生として教室を始めるなら、「いつから・どこで・誰が・誰に・なぜ・何を・どのように・いくらで」教えるのかを1つずつ検討していきます。
事業計画をしっかり立てることで、必要な資金がどのくらいかが決まります。
▼集客・販促計画を立てる
集客方法として、新聞や雑誌に広告を載せたり、チラシを配ったりする、お金がかかる方法もあります。一方でWebサイトやブログ、SNSを使ったお金をかけない方法もあります。どちらにもメリット、デメリットがあるため、よく検討して計画を立てましょう。
▼「どこで」ビジネスをするのかを決める
自宅の一角を教室として使うのか、貸会議室をその都度借りるのか、テナントを借りて常設の教室を運営するのか、決めましょう。どの場所を選ぶかによって、教室運営の流れやかかる料金が変わってきます。
貸会議室やテナントについて、どこで調べればいいのか分からない先生は、おけいこタウンのように、授業ができるスペースを探すことができ、集客サポートもしてもらえるサービスを利用するのも一案です。
▼法律や条例を確認し必要な手続きを把握する
ビジネスが法律や地域の条例に触れるものではないかを、必ずチェックしましょう。必要な認可を受けたり、届出を行ったりすることも忘れずに行います。
▼経理・税務関係の知識を得る
教室が始まると、お金の出入りも激しくなります。入会金や月謝を生徒から受け取ったかどうかの管理や、家賃や消耗品費などどのくらいのお金を使ったのかの把握が大切。経理と税務の知識は必須のため、早い段階で身につけましょう。
▼家族の理解を得る
先生としての仕事を始めると、家を留守にする時間が長くなります。これまで先生が担ってきた家事をご家族に分担してもらうこともあるでしょう。ご家族の理解と協力を得られるようにしましょう。
▼人脈を作る
個人事業主にとって、人とのつながりは大事です。人脈が仕事を生み出してくれることは多くあるため、できるだけたくさんの人と出会い、信頼を得ておきましょう。
まとめ
資金なし、または低資金で起業したい場合は、日本政策金融公庫の融資や信用保証協会の制度融資を利用して、資金調達をする方法が考えられます。どのくらい資金が必要かを見極めるために、事業計画をしっかり立てましょう。
起業時には、資金調達以外にもやることがたくさんありますが、昨今は個人事業主の様々な悩みを解決してくれるサービスも生まれています。
例えば、先生として教室を開きたいなら、「教えたい人」と「習いたい人」のマッチングプラットフォームおけいこタウンを利用すれば、教室を開講するための施設利用、Web集客、受講者の決済に至るまでバックアップを受けることも可能です。
「資金がない」「低資金で開業したい」と考えているならば、無料や低価格で利用できるサービスをうまく利用し、先生が授業に集中できる環境を作り出しましょう。
【監修者プロフィール】
並木 一真(なみき かずま)
税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート
2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等、幅広く税理士業務に取り組んでいる。