教室開講から経営までスムーズに成功できるコツ! 先生に必要な準備と費用は?
先生が「教室を開講する」ことは、経営者になるということです。教室に生徒を迎え、満足していただくためには、さまざまな準備や手続きが必要です。開講のための費用や運転資金、生徒から受け取る月謝と教室経営にかかる費用のバランスなど、教室経営のためのいろはや注意点をご紹介します。
理想の教室を現実にするための事前準備とは?
教室開講前に準備しておくべきことは、次の通りです。
考えておきたいこと |
具体例 |
経営計画、収支計画 |
マーケティング、月謝・売上目標の設定 |
必要な「もの」の調達 |
教室開講場所の確保、教室運営に必要な物品の調達、必要な手続きについて調査 |
万が一の事態への備え |
先生や生徒のケガ、事故、教室建物や物品の損壊・盗難への備え |
集客方法の検討 |
チラシ、ポスターの制作、ネットによる集客、その他 |
資金調達方法 |
自己資金、銀行融資、日本政策金融公庫や信用保証協会の利用 |
お金や税務に関する知識 |
資金繰り表の作成、集客目標の設定、確定申告と税務の知識 |
経営計画と収支計画
先生が「教えたい」と思っていることを、実際に教えている他の教室について調べてみましょう。
- どのような人が、その教室に通っているか?
- どのくらいの入会金や月謝を受け取っているか?
- 場所代やその他の経費がどのくらいかかっていそうか?
できるだけ多くの教室について調査をし、先生自身が作りたいと思っている教室のイメージを固めます。
そして先生が開く教室に、どのような生徒に集まってほしいかを考えます。
生徒の年齢や性別、社会的立場、家庭環境などを詳細にイメージしてください。
- 生徒は、どのくらいの入会金や月謝なら無理なく支払ってくれそうか?
- 生徒が通いやすい開講時間帯や立地条件はどうか?
教室開講に必要な物品、手続きを調査
教室のイメージが固まったら、教室開講のために必要な場所や物品等を具体的に書き出してみましょう。
書きだしておくこと |
具体例 |
場所 |
貸会議室、レンタルスペース、自宅の一角など |
物品 |
教材、機材など「教える」ために必要なもの 事務用品や会計ソフトなど裏方仕事に必要なもの |
先生自身にかかる費用 |
生徒に信頼される服装、自宅から教室までの交通費、仕事中に子どもを預ける場合の費用など |
必要な手続きも調べてください。例えば、次のようなものが考えられます。
- 個人事業主としての開業届
- 資格が必要な場合その取得方法
- 特定商取引法の特定継続的役務提供対象となる教室であれば概要書面や契約書面の準備
- 地域の法規制の確認
万が一の事態への備えを検討
成功している個人事業主(先生)は、さまざまなリスクへの対応も検討しています。例えば、先生や生徒のケガ・事故、物品が損壊したり盗難に遭ったりすることが考えられます。火災保険や賠償責任保険、その他の保険について損害保険会社に相談するのもいいでしょう。
緊急事態宣言などの事情で、対面での授業が難しくなる場合に備えて、オンライン授業のための準備や、休講措置についても考えておきましょう。先生が病気などで授業ができないとき、他の信頼できる人に授業をしてもらったり、返金保証をしたりするといった対応が必要になるかもしれません。
集客方法の検討
教室に生徒を集める方法についても考えておきましょう。Webサイト、ブログ、SNSなどは費用があまりかからず、誰でも挑戦しやすい集客方法です。ただし、戦略を立てて実践しなければ、集客効果が上がらない場合もあります。費用はかかりますが、チラシのポスティングや新聞の折り込み広告、タウン誌などへの掲載もひとつの方法として試してみるといいでしょう。
教室開講と経営に必要な資金の準備
教室開講と経営のためには、さまざまな費用がかかります。すぐに生徒が集まって収益が得られるとは限りません。たとえ生徒が0でも、半年から1年くらいは教室を維持できるだけの資金を準備しておくと安心です。
必要な費用の洗い出しと資金調達
教室経営に必要な場所や物品を一覧表にまとめ、それぞれどのくらいの費用がかかるかを計算しましょう。そして、必要な資金を調達するための方法も検討します。
方法 |
注意点 |
自己資金の用意 |
十分な預貯金を用意するには時間がかかる場合がある |
民間の銀行からの資金調達 |
事業計画や資産状況をもとに厳密な審査があり、融資が受けられない場合がある |
日本政策金融公庫 |
民間の銀行に比べて実績のない個人事業主でも融資が受けやすい場合がある |
信用保証協会 |
地域の信用保証協会ごとに申込方法や融資が受けられる条件があるため事前に確認する |
補助金、助成金の利用 |
支給には条件があり、条件を満たす教室でなければ融資が受けられない |
固定費の支出額をチェック
生徒が0の期間が続いても、教室の家賃や融資を受けた場合の返済などの固定費は支払い続ける必要があります。そのため、固定費の支払い額はできるだけ抑えましょう。
とはいえ、家賃を抑えたいがために、生徒が快適に過ごせないような部屋で教室を運営し続けると、生徒が離れてしまう可能性もあります。売上と支出のバランスを見て決めましょう。
利益が出せる集客目標を設定
先生の収入は「生徒から受け取る月謝×人数」がメインとなります。月謝を高額にすると集客が難しくなるため、生徒が無理なく払える設定にして、人数を集めることで、売上を向上させるようにしましょう。
教室経営のために、毎月どのくらいの費用がかかるかを計算し、1人あたりの月謝を設定すれば、「何人の生徒を集めると、利益が出せるか」が見えてきます。その人数を意識して集客活動を行いましょう。
資金繰り表を作り、お金が必要なタイミングを把握
個人事業主(先生)にとって、教室の家賃が払えなかったり税金を滞納したりすることは、信用を失うだけでなく延滞金なども生じてしまうので注意が必要です。簡単で構いませんので資金繰り表を作り、「いつ、いくら」お金が必要になるかを把握しましょう。
確定申告について
生徒さんから月謝を受け取るようになったら、納税のことも意識しましょう。所得税・住民税・消費税・個人事業税についての知識を身につけ、特に所得税と消費税の申告を忘れないようにしましょう。
先生の「好き」と生徒の「知りたい」が一致する教室づくりを
教室経営を成功させるためには、先生が「これを伝えたい、教えたい」と思うことと、生徒が「こんなことを習いたい」「うまくなりたい」と思うことが一致するような教室づくりが大切です。
入会した生徒が通い続けてくれる教室づくりを
新規の生徒を獲得するには、時間も労力もかかります。反対に、いったん通い始めた生徒に通い続けてもらうことは、あまり時間や労力をかける必要がありません。「これを知りたい、学びたい」と考えて入会した生徒が、通い続けてくれるような教室経営を心がけましょう。
生徒が離れていく場合、その理由を確認し改善
生徒が離れてしまうことが続く際は、その理由を確認し改善しましょう。生徒の満足度を高めるには、生徒の現在のスキルを確かめた上で、「少し背伸びすれば届くこと」を提供し続けることが大切です。
生徒にとって簡単にできることばかり伝えたり、反対に難しすぎて手が届かない内容ばかりを教えたりするということを続けると、生徒は教室から離れて行ってしまうでしょう。教える内容以外にも、先生の話し方や言葉の選び方、教室全体の雰囲気、人間関係、月謝の設定、その他の事情があるかもしれないため、その都度振り返り改善します。
新しいコースを設けるときは
スキルの高くなった生徒や、経験を積んだ生徒に、ハイレベルなクラスの開講を要望された場合、即座に返事をするのは避けましょう。費用や集客方法のことを検討し、収支計画を考案してから、開講可能かどうかの結論を出すようにします。
まとめ
教室開講と経営をスムーズに進めるために、しっかり事前準備をしましょう。どのような生徒に、どのようなことを教えるかの計画を立て、そのために必要な場所や物品をリストアップしましょう。資金計画を立て、集客方法も検討します。
いったん入会した生徒には、長く通い続けてもらうための工夫も非常に重要です。生徒に教える「先生」の立場と、教室の経営者や個人事業主であることの両方を意識して、教室を長く続けていきましょう。