好きな仕事だから、いつまでも働いていたい【おけいこ会議】Vol.3
九州電力株式会社「おけいこタウン」サービス事業責任者の田畑耕一氏がゲストとテーマについて対談するシリーズ【おけいこ会議】。
第三回は、おけいこタウンでパーソナルカラー診断や骨格診断、画像加工アプリの「Canva(キャンバ)」の講座を開いているミキティ先生を招き、「多様な働き方と、働くことへの意識の変化」をテーマに話し合いました。ミキティ先生が、会社員時代を経て講師になるきっかけや、フリーランスでの仕事観を語りました。
「教えることが好き」と気づいた会社員時代
―ミキティ先生は、講師をする前はどんな仕事をしていましたか?
ミキティ:最初の仕事は、化粧品メーカーで販売店に商品の紹介やインストラクションをする営業です。時には販売代理店に出張して、お客さまに化粧の仕方を実演することもありました。鹿児島で12年くらい勤めていましたが、結婚を機に退職しました。
離職中に雇用保険の教育訓練給付制度を知って、専門学校でパソコンスキルを学び直しました。WordとExcelを中心とした検定試験を受けるという講座ですね。2級、3級と資格を取るうちに、先生から「一緒に教えませんか」って誘われたんです。それで学校でパソコンを教える先生の手伝いをするようになりました。
田畑耕一(以下、田畑):化粧品の仕事から、全然違うパソコンを教える仕事に移ったんですね。
ミキティ:パソコンが好きだったのです。先生のおかげでパソコンを教えるスキルが身につきました。その後、福岡に引っ越すことになって、パソコンスクールがいいなと思って、マイクロソフトの資格を取るためのインストラクターになりました。それからパソコンのコールセンターで、オペレーターのサポートや採用などのバックヤード業務で13年くらい働いて、その後は事務系や派遣の仕事もしました。
田畑:さまざまな仕事の経歴をお持ちだったんですね。
ミキティ:美容系とインストラクションの仕事、そしてパソコンの仕事という関連があるので、今の仕事と結構、軸は合っています。
田畑:合っていますね。
ミキティ:化粧品メーカーで働いていたときも、インストラクションのときも、パソコンの講師のときも、使い方を教えたり、教えた人が喜んでくれたりするとうれしくなりました。「私は教えることが好きだな」と思ったんです。だから派遣で仕事をしているうちに、徐々に自分が習ったことや教えてきたことを活かした仕事ができないかと、思うようになって、それで今のフリーランス講師の仕事につながったのです。
収入は減っても人生の満足度は上がった
―会社員時代とフリーランスの講師の働き方にどんな違いがありますか?
ミキティ:化粧品メーカーと福岡のパソコンスクール、コールセンターではフルタイムの正社員で働いていました。
田畑:勤務体系はどうでしたか?
ミキティ:週5日勤務です。化粧品メーカーのときは、遠方出張が多く、帰りの時間が遅くてハードでした。パソコンスクールでは、仕事帰りの人向けに夜9時から始まり、終了が10時半の講座もありました。やはり体力的にきつかったです。
田畑:今の働き方はどんなふうに変わりましたか?
ミキティ:今は完全フリーなので、おけいこタウンや私の個人Webサイトなどから予約が入った日が稼働日になります。だから、1日中ずっと仕事の日もあれば、休みの日もありますが、自分でコントロールできます。休みにしたい日は予約を取りません。時間帯も基本的に、午前10時と午後3時、たまに午後1時という3回で設定しています。
また、夜9時からやってほしいという要望があった場合、私の都合が合うなら、オンラインで対応することはあります。日程も時間帯も受講する方ありきなので、自分の対応できる範囲内であれば自由にしています。
田畑:仕事が混んだり、空いたりすることはないんですか?
ミキティ:もちろんあります。ただ講座の現場だけが仕事ではないので、自分のWebサイトを整えたり、講座のパターンを作ったり、講座の申請をしたりと、色々とすることはあります。
田畑:会社員時代と比べて満足度としてはどうでしょうか?
ミキティ:収入面の満足度といえば、かなり下がりますよ。でも自分の時間の融通が利くのは広い意味でかなり満足できる働き方だと思っています。
田畑:他にも満足度につながるものはあるでしょうか?
ミキティ:いろんな人に会えるのが面白いです!大阪の占い師さんとか、テレビに出るような著名な知識人の方、転勤になって新しい勤務先でどんな服を合わせたらいいか悩んでいる方とか…、そんな方たちに出会えるんです。会社にいたら知り合えなかった方との出会いも人生の満足度を上げることにつながっています。
田畑:会う人の幅が広いと、自分の幅も広がって深みが出ますね。うらやましいです。
「私」という個人を信頼して習いに来てくれる
―講師の仕事にはどんなやりがいを感じますか?
ミキティ:教えた人が上達したり、楽しみを持ったりするのを手伝えることです。スキルが上がるとか、美容系できれいになるといった、その人たちの変化に立ち会えるのもやりがいになりますね。ワードプレスの講座を受講された60代の女性は、国家試験に関する専門的なWebサイトを作っています。ニッチなサイトなのでいきなり検索で上位に表示されるんですよ。「上位に載りましたね!」って私もとてもうれしくなりました。
田畑:ミキティ先生は会社員時代にも、専門学校やパソコンスクールなどで教える仕事をしていましたよね。現在はフリーの講師で教える仕事をしていらっしゃいますが、会社員時代と現在のフリーの講師として教えるときで、やりがいや喜びに違いってあるんでしょうか。
ミキティ:基本は同じですね。でも受講する人にとって、学校やスクールで習ったのか、個人に習ったのかという違いはあったかもしれません。スクールだから習いに来たという人もいたでしょう。今は個人事業でやっているので、「私」という個人を信頼して習いに来ていただいているというのは、かなりうれしいですね。
田畑:ミキティ先生と受講する方との距離感も違うでしょうね。
ミキティ:ただ、個人では難しいと感じる点もあります。
田畑:どんな点ですか?
ミキティ:個人ではなかなか気づいてもらえない点です。気づいてもらえないと、私に習いに来る人と出会うチャンスがありません。それに「信頼できる講師だ」というのが受講する人には伝わりにくいです。だからおけいこタウンのような、九電というしっかりしたバックグラウンドのあるところで、先生をさせていただけるのは大きなバリューがあります。
先日、ある公共団体で講座をしましたが、「おけいこタウンで教えている講師」という安心感があったからこそ、ご依頼があったかと思います。そういう恩恵を受けられるので、一人でポツンとやっているのとは全然違います。
田畑:そこはおけいこタウンの強みと言えますね。
ワークもライフも溶け込んでいる
―プライベートはどのように過ごしていますか?仕事を意識することはありますか?
ミキティ:あちこちご飯を食べに行くのが好きですが、このお店は接客が素晴らしいな、メニューは手書きフォントを使っているなとか、街を歩いていると「ここ、何だろう」って、色々気になってしまいますね。直接仕事につながるとは思っていませんが、常に興味と好奇心を持って生活しています。
田畑:それって結構大事なことですよ。気になるから見えてくるものがあります。好きでやっている人と、意識しないとできない人がいるかもしれませんが、個人で仕事をする人は意識づけをした方がいいと思いますね。
例えば、私はこの1年でランニングを始めました。すると「街の中って、こんなに走っている人がいるのか」と、それまでは見えてなかったものが、意識すると視野に入ってくることを実感しました。
ミキティ:走っている人がそんなにいるってことは、ランニングする人はランニングを教えられるんじゃないか、って話になるんですよ。
田畑:そうなんです。色々話すチャンスもあります。
ミキティ:もし、田畑さんが1年前からずっと写真を撮っていたら「ランニングでこんなに変わりました!」という説明ができる。もう講座ができるのです。走りやすい道がいくつかあれば「福岡のランニングに適するルート50」というようなWebサイトをアップすることもできるじゃないですか。
田畑:いやぁ、さすがです。もう講座やWebサイトのアイディアがあふれていますね。
ミキティ:そういう興味のあるものが「何かにひもづかないかな」というアンテナはいつもちょっぴり出しています。
田畑:プライベートも仕事もあんまり切れ目がないんじゃないですか?
ミキティ:会社員みたいに9時から5時まで働くなど、時間が決まっているわけではないですし、日中自由な時間が多く、受講したい方の都合で夜に対応することもあるので、あまり切り替えるという感覚がないです。他のフリーの方はいかがですか?
田畑:同じような方が多い感じです。
ミキティ:私たちのような働き方は、ワークライフバランスというのは違うような気がします。バランスを取るというより、ワークもライフも溶け込んでいるという感覚がピッタリですね。
一生働きたいから、できることを考え続ける
―働くモチベーションは何ですか?
ミキティ:頑張っている人、特に頑張っている女性を見ることです。私たちのようなフリーの講師は、教える内容も教える場所も全部自分で用意しなければなりません。場所を探したり、場所の情報を教えてくれたりして頑張っている人を見ると「私も頑張ろう」とモチベーションが上がります。
女性は会社員だと、節目やタイミングによって退職せざるを得ないことが多いですが、私たちの仕事は一生頑張れます。その中で私よりも高年齢で頑張っている人を目の当たりにすると、やっぱりモチベーションが高まります。おけいこタウンでは先生やこういう頑張っている皆さんの交流会や出会いの機会はないのでしょうか?
田畑:何回かやったことがあります。ジャンルの異なる先生との交流から他ジャンルの常識を知って、自分のジャンルに活かしたいという要望も多いのです。コロナもあってしばらくお休みしていますが、交流会を企画していきたいですね。ミキティ先生は、これからのキャリアとして挑戦したいことはありますか?
ミキティ:キャリアは全く考えていないですが、自分にできることを探し続けたいですね。今していることが、2年後も同じようにやれるとは限らないですから。
例えば、ChatGPT(チャットGPT)のようなものが出てくるなんて、2年前は想像できませんでした。今後もそういうツールが出てくると、Webサイトを作るにしても絶対に変わります。
だから新しいものをどんどん吸収して、自分ができることを常に考えておきたいです。フリーの講師は続けていると思いますが、2年後の私は何を教えているかわからないですよ。
田畑:いつまで働いていたいですか?
ミキティ:ずっと働きたいですね。先ほどお話しした専門的なWebサイトを作っている60代の方は、移住を考えていて、九重や糸島など別荘地に住みながらWebで仕事をしたいそうです。そういう人って一生働きますよね。好きなことだから、生涯働き続けるのって、いいなと思いました。私にも遠くない話だと思っています。だから何ができるかを考え続けて、一生働きたいです。
終わりに
フリーの講師の仕事は、収入は減るが、時間と出会いで人生の満足度が高く、一生働いていたいというミキティ先生。何か教える仕事をしたい人に「頭で考えるより、何か一つ行動を。一日も早く」と、何度も話していました。
最初の一歩を踏み出すのは不安があると思いますが、先生デビューをするなら、おけいこタウンがおすすめです。初めて先生になる人に寄り添い、安心して講座を開けるようにサポートしています。
学びたい人と教えたい人のマッチングサービス「おけいこタウン」なら集客だけでなく、講座開講から決済まで「おけいこタウン」のWebページ上で完結できるので、「講座を開催する方法がわからない」という人でも安心してチャレンジできます。
九州地方の各地でスペースの貸し出しサービスもあるので、お近くにお住まいの方はぜひ利用してみましょう。詳しくは「おけいこタウン」のWebサイトをご覧ください。