個人事業主なら知っておくべき確定申告とは?やり方をわかりやすくご紹介
収入を目的に、継続的に行う経済活動を事業といいます。
- 個人商店で商品を販売している
- 請負でプログラムを作成している
- 定期的に有料セミナーを開催している
いずれも個人が行っている事業です。事業活動に伴い、収入が見込めるときは、専業であっても、副業であっても、(所得税の)確定申告が必要になることがあります。今回は、確定申告とは何か、またその方法をご紹介していきます。
確定申告の手順1.必要な書類を準備する
確定申告とは、一般的には、個人の所得税の確定申告のことをいいます。これから個人で事業を始める人は、特に確定申告とは何かよく理解しておくことが重要です。まず、確定申告とは何か、確定申告のやり方として押さえておくべき確定申告の前準備についてご紹介していきます。
確定申告とは?
確定申告とは、納税者自らが税金の計算を行い、税金を徴収する税務署に税金の申告をする手続きをいいます。「確定申告」というと、個人の所得税の確定申告を指すことが多いです。
所得税の確定申告は、何かしらの所得(儲け)がある人は必要です。ただし、会社員の場合、勤務先が年末調整といって、所得税の精算と納税を代わりに行ってくれるため、個人で確定申告する必要はありません。
おけいこタウンでの講座をメインの仕事とするようになった先生など、会社員を辞めて個人で事業を始めた人は確定申告が必要になる可能性があります。確定申告のやり方を一通り押さえておきましょう。
▼確定申告が必要な人については、下記の記事で具体的なケースを取り上げています。
こちらもご覧ください。
確定申告しないとどうなる?確定申告が必要な人が申告しなかった場合のペナルティはある?
▼なお、会社員は年末調整を受けるため確定申告は必要ないと説明しましたが、副業の所得が多いと確定申告が必要になることもあります。会社員の副業と確定申告については、こちらの記事が参考になります。あわせてご確認ください。
所得20万円までは確定申告や開業届が不要って本当!?誤解しがちなポイントを解説
確定申告の前準備として書類を揃えておく
確定申告が必要だとわかったら、確定申告の期限までにスムーズに申告できるようにするために、早めに準備を進めておきましょう。
確定申告のためには所得税の計算の基礎になる1年間の所得を把握する必要があるため、事業や副業の売上がわかる書類、必要経費を把握するための領収書やレシート、銀行口座の取引明細や通帳を準備しておきます。しかし、1年間の情報を整理するのは大変です。個人事業主なら毎日、少なくても毎月1回は書類を整理し、帳簿の作成を進めておくことをおすすめします。
会社員で副業をしている場合は源泉徴収票、所得控除(所得税の計算上所得から差し引けるもの)を受けられそうなときは所得控除の証明になる下記のような書類を準備しておきます。
- 国民健康保険や国民年金などの社会保険料控除証明書
- 生命保険料の控除証明書
- 地震保険料の控除証明書
- ふるさと納税などの寄附金の受領証
- 医療費の領収書
確定申告の手順2.確定申告書を作成する
確定申告に必要な書類が揃ったら、確定申告書の作成を進めていきます。所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日の1年間の所得税の申告になるため、計算が確定する翌年の1月以降から確定申告書の作成に取りかかりましょう。
事業所得者は青色申告決算書か収支内訳書を作成する
継続して事業を営んでいる個人事業主は、所得税の確定申告の区分では、事業所得者に該当します。事業所得者は確定申告書の他に、「青色申告決算書」(青色申告者の場合)、「収支内訳書」(白色申告者の場合)、のいずれかの作成と提出が必要です。
いずれの書類も、年間の事業の売上や売上原価、必要経費を集計し、どのように事業所得を計算したかがわかるものになっています。減価償却の対象になる資産(取得した年に一度に経費にできず複数年にわたって経費計上していく資産)があれば、減価償却資産の減価償却期間や方法などの詳細な記入も必要です。
副業の所得は収支内訳書などが不要?
副業による所得は、基本的に雑所得に分類されることが多いです。雑所得の申告では、事業所得のような青色申告決算書や収支内訳書の提出は必要ありません。ただし、所得を申告する必要はあるため、所得計算に必要な年間の売上と必要経費は把握しておきましょう。
確定申告書を作成する
確定申告では、確定申告書B(副業者は確定申告者Aでも可)の第一表と第二表の作成が必要です。事業で赤字のときは、第一表と第二表とは別に、損失申告用の第四表も作成します。
下記は、確定申告書第一表と第二表作成の大きな流れです。
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- 各所得の収入金額を記入する(第一表)
- 各所得の所得金額(収入-必要経費)を記入する(第一表)
- 所得控除の額を記入する(第一表)
- 課税所得金額を算出し税金の計算を記入する(第一表)
- 所得控除の詳細などを記入する(第二表)
必要に応じて添付書類を作成する
申告する内容によっては、確定申告書第一表や第二表、青色申告決算書(または収支内訳書)以外にも、計算書や明細書などの書類の添付が必要になることがあります。例えば、医療費控除を受けるのであれば「医療費の明細書」、住宅ローン控除を受けるのであれば「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」などの添付が必要です。下記の国税庁のサイトなどを参考に、他に添付が必要な書類がないか、提出前に確認しておきましょう。
▼参考サイトは以下の記事をご確認下さい。
確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
確定申告の手順3.確定申告書の提出と納付を行う
確定申告書や添付書類の作成が完了したら、確定申告書の提出と所得税の納付を行います。
確定申告書の提出
確定申告書提出の準備ができたら、納税者の住所地などを管轄する税務署に確定申告書を提出します。確定申告書の提出方法は、窓口提出、郵送、電子申告(e-Tax)の3つです。申告しやすい方法で提出してください。
管轄の税務署がどこかわからないという方は、下記の国税局や税務署を検索できる国税庁のサイトを活用しましょう。
▼参考サイトは以下の記事をご確認下さい。
国税局・税務署を調べる|国税庁
窓口提出、郵送、電子申告(e-Tax)の中でも便利なのが電子申告です。電子申告は、e-Taxソフト、または国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用して作成した申告書を、インターネットを介して提出する方法になります。
電子申告に関しては、利用者識別番号の取得など電子申告のための事前準備が必要になりますが、窓口や郵便局、あるいはポストまで足を運ばずに、自宅から申告できるのが特徴です。青色申告書であれば、最大65万円の青色申告特別控除を受けるための条件のひとつです。積極的に活用を検討してみましょう。
所得税の納付
確定申告は、所得税の申告を行うための手続きです。所得税は申告納税方式で、納税者自らが申告した額を納付しなければならないため、申告と納税はセットで考えておきましょう。
所得税の納付の方法は、下記の3つです。
- 現金納付(納税窓口や金融機関での支払い)
- e-Tax(インターネットバンキングやクレジットカードなどでの支払い)
- 振替納税(申告から約1か月後に指定口座から引き落とし)
所得税の確定申告と納付は、例年3月15日までです。期限を過ぎないように注意しながら、確定申告の手続きを進めていきましょう。
まとめ
確定申告は、やり方を知っていればそこまで難しくありません。最初のうちは戸惑う部分もあるかもしれませんが、申告する内容は基本的に毎年同じです。慣れてくれば、どの書類を集めておくべきか、どの書類を提出するべきかわかってきます。
確定申告がネックで個人事業や副業の売上アップに躊躇しているのであれば、機会損失にもつながります。確定申告を支援するサービスも必要に応じて活用してみるとよいでしょう。
おけいこタウンで講座を開催している個人事業主の先生は、この記事を参考に確定申告を行いましょう。また、先生として活躍したいと考えている方はぜひ おけいこタウンをご活用ください。おけいこタウンでは、開催場所の提供をはじめ、決済や集客のサポートも行っているため、「経験やノウハウがない」という先生でも安心のサービスです。おけいこタウンで是非「先生」としてデビューしてみてください。
【監修者プロフィール】
並木 一真(なみき かずま)
税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート
2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等、幅広く税理士業務に取り組んでいる。