【2022年最新版】個人事業主・フリーランス向け助成金・補助金まとめ
新型コロナウイルスの影響を受けて資金繰りが苦しいと感じている個人事業主(フリーランス)に向けて、国や自治体ではさまざまな支援策を用意しています。そこで今回は、2022年1月現在において個人事業主・フリーランスが申請できる助成金・補助金をまとめました。「どの助成金(補助金)制度なら要件を満たしているだろうか?」という目線で読んでいただければと思います。
給付金について知りたい方は他の記事でご紹介しておりますので、以下の記事をご覧ください。
【2021年度】個人事業主向け給付金まとめ
個人事業主・フリーランスが助成金・補助金を受けるメリット・デメリット
では、最初に助成金と補助金の違いについて解説します。その上で、助成金と補助金を受給するメリットとデメリットについて、ご紹介していきます。
助成金と補助金の違いとは
まず助成金は、厚生労働省が管轄しており「雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上など」を目的に助成金が給付されています。一方の補助金については、国や自治体の目指す姿に合わせて補助金の目的・対象・仕組みがそれぞれ設定されており、制度によって目的が異なります。また、補助金の場合は審査が厳しく、書類審査と面接などにより給付が受けられない場合があります。
助成金も補助金も給付金と同じく返済の必要がない資金調達の方法ですが、申請する内容によっては給付が受けられない場合があるため、ご注意ください。
個人事業主が助成金・補助金を受けるメリット
返済しなくてもよい
助成金や補助金は給付金と同様に返済の必要がありません。収入が減少したことにより給付金を受給したが、それだけでは資金繰りが苦しいと感じている個人事業主にとって非常に助かる制度であるため、積極的に申請を行いましょう。
労働環境を整備できる
現在用意されている助成金(補助金)は事業の継続を補助する目的以外にも、事業への投資を補助する制度も用意されています。特にコロナ禍をきっかけに大きく変化したオンライン事業への設備投資については「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」などを利用することにより、設備投資に対する補助金が期待できます。
事業計画を見直すきっかけになる
補助金を申請する場合、事業の現況や現在までの取り組み、今後の課題と解決策や設備を導入するスケジュール、5か年の事業計画など、具体的な現状分析と達成可能な事業計画の提出が求められます。忙しくて現状分析や事業計画の作成を行うことがない個人事業主(フリーランス)が多いため、補助金の申請が事業計画を見直すきっかけになることでしょう。
個人事業主が助成金・補助金を受けるデメリット
申請に手間がかかる
助成金を申請する際は、提出する書類を揃えることはもちろん、事業計画の提出を求められる場合があります。また、事業によっては、労働者名簿や就業規則等の準備に手間がかかる書類が必要なケースもあるため、申請書類を準備する時間が取れないといった場合は、社労士等の専門家に申請代行を依頼する方法もあります。
経費を先に払う必要がある
補助金の多くは初めの審査を通過した後に、報告書と使用した経費を領収書等とあわせて提出することにより次の審査に進みます。そのため、経費を支払ってから補助金の給付(審査を通過したとしても)を受け取るまで、6か月ほどは補助金の交付を待つ必要があります。補助金を申請してから交付されるまでに、半年〜1年ほどかかるということは覚えておきましょう。
申請しても補助金を受け取れない可能性がある
助成金は要件を満たせば審査に落ちることはあまりないといわれていますが、補助金の審査は厳しいといわれています。特に、近年では不正受給を防ぐために、審査がさらに厳しくなっています。
審査を通過するためには、助成金・補助金の要件をしっかりと確認することをはじめ、申請書類に記入する内容を意識しましょう。事業計画書に記入する事業の目的や将来性、補助金の使用目的を分かりやすく記入することが大切です。
個人事業主・フリーランスが申請できる助成金一覧
ここからは、個人事業主が利用できる、現在実施している助成金・補助金をご紹介します。
上限100万円の補助が受けられる「小規模事業者持続化補助金」経産省中小企業庁
小規模事業者持続化補助金は「ポストコロナを踏まえて、人との接触機会を減らす感染対策を踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取り組みを支援する」目的で実施されています。
具体的には、新たなビジネスやサービスの導入等に必要となった、機械装置等や広報費、新商品やシステムの開発費や事業に関連する資料・図書費等が経費の対象になります。補助率は3/4で、補助上限額は100万円です。なお、感染防止対策に必要な経費については、100万円に上乗せされるものではありませんが、補助金総額の1/4(最大25万円)を上限として給付されます。
上限450万円「IT導入補助金」経産省中小企業庁
IT導入補助金は、ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けて、ITツールを導入するために必要な補助金を給付する制度です。テレワーク環境の整備をはじめ、遠隔でのサービス提供を目的とした非対面化ツールの購入に対してかかった経費が補助金の対象になります。補助率は2/3で、最大450万円を上限に補助されます。
上限1,000万円「ものづくり補助金」経産省中小企業庁
ものづくり補助金は、今後の制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応することや新型コロナウイルスの影響を乗り越えることを目的として、ビジネスモデルへの転換に向けた革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善を行うために、設備投資に取り組む事業者に対して補助金が給付されます。
本制度の対象となる経費は、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝費等が対象となります。補助率は2/3で、最大1,000万円(グローバル展開型については3,000万円)を上限に補助されます。ただし、一部の経費(技術導入費や外注費等)については補助対象費の1/2や1/3、1/5に設定されているものがあるためご注意ください。
なお、令和4年2月中旬に実施される「ものづくり補助金の見直し・拡充」により、内容が変更になる場合があります。
1日あたり上限15,000円「雇用調整助成金(従業員がいる個人事業主)」厚生労働省
雇用調整助成金は、新型コロナウイルスの影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、事業者が労働者に休業手当等を支払う場合に、その一部を助成する制度です。
売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年または前々年同期に比べ30%以上減少している企業かつ、緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置の対象区域において、営業時間の短縮等の要請等に協力する事業者に対して、1日あたり15,000円を上限に給付されます。補助率は解雇等を行わずに雇用を維持した場合は10/10で、それ以外の場合は4/5です。
最大72万円「キャリアアップ助成金」厚生労働省
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため(正社員化、処遇改善)の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。現在パートとして雇っている従業員を正社員にする予定があるといった場合や、正社員を雇うために手当の制度を共通化したい、社会保険の適用を拡大したいといった場合に本制度の給付を受けることができます。小規模で活動している個人事業主も、労働環境整備のために利用できます。
助成金の給付を受けるためには雇用保険適用事業所の事業者であることや、キャリアアップ計画を作成することなどが必要ですが、審査に通れば最大72万円の給付が受けられます。労働環境の整備に役立つ コースが7つ用意されているため、目的に応じた申請が可能です。
▼7つのコースは、下記の通りです。
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
創業補助金(自治体によって名称変更あり)経産省中小企業庁
創業助成金は、創業時必要な経費(賃借料や広告費、専門家指導費や人件費等)の一部に対して、国や地方自治団体より助成金(補助金)の給付が受けられる制度です。
申請期間は地方自治体団体により異なりますが、春または秋に受け付けています。また、創業支援金の「認定市町村」で創業していることや、市町村より創業支援等事業計画に基づく証明書発行を受けているものなど、要件も市町村により異なります。なお、東京都の場合は、都内での創業を具体的に計画しているまたは個人事業主または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方を対象に助成率2/3以内として、300万円を上限に助成を受けることができます。
助成金・補助金の申請が難しい場合は融資を利用する方法もある
助成金・補助金の申請が難しい場合や、審査に落ちてしまったような場合は、「生活福祉資金の特例貸付」や日本政策金融公庫の「実質無利子・無担保融資」を利用するといいでしょう。
生活福祉資金の「特例貸付制度」については、個人事業主なら無利子で20万円まで貸与を受けることができます。また、日本政策金融公庫の「実質無利子・無担保融資」では、6000万円を限度に当初3年間実質無利子(後日の利子補給あり)で融資を受けることができます。
▼融資について詳しく知りたい方は他の記事でご紹介しておりますので、以下の記事をご覧ください。
個人事業主 給付金 助成金 貸与金とは?それぞれの概要や違い、メリット・デメリットを解説!
まとめ
感染者数の減少が続き、新型コロナウイルス感染症の終息が見えてきたかと思われましたが、変異株の登場により、また感染者が増加するのではないかと懸念されています。一時は終了が予告されていた給付金や補助金についても再延長が検討されるなど、今後も給付金や助成金の情報に注目していきたいところです。
おけいこ先生では今後も個人事業主に役立つ情報を発信していきますので、困ったことがあれば、おけいこ先生の記事を参照していただければと思います。また、 おけいこタウンをご利用中の先生は、この記事を参考に助成金・補助金の申請にお役立てください。
【監修者プロフィール】
並木 一真(なみき かずま)
税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート
2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等、幅広く税理士業務に取り組んでいる。