「心を揺さぶる音で人々に感動を与える」 ヴァイオリンの塗装のプロフェッショナル、ものづくりに懸けた思い
今回ご紹介させていただくのは、バイオリンの塗装講師として、最高性能のバイオリンづくりに尽力されている築地先生です!
バイオリンの塗装技術者になった経緯から、講師として活動をはじめたきっかけ、技術者としての想いなど、インタビューでお伺いしたいと思います!
※こちらの記事は、2020年に取材したインタビューです。
インタビュアー)
築地先生、本日はよろしくお願い致します。
築地先生)
はい、よろしくお願い致します。
複数の講師で生徒の上達をサポートする、その力になれれば
インタビュアー)
では、早速ですが築地先生が講師活動を始めたきっかけは何でしょうか?
築地先生)
まず、正しい動作の習得にはどうしても数百回の失敗が必要になるため、講師一人で教えるのではなく複数名の講師で教えるということが、上達に結びつきます。私も講師の一人として参加することで、「何か力になれるのでは」と思ったことが活動を始めたきっかけとなります。
バイオリンに対する先入観
インタビュアー)
なるほどですね、複数名の講師でそれぞれのスキルを持ち寄って生徒さんに教えることが上達に必要なのですね。では、活動開始時に何か困ったことはありましたか?
築地先生)
バイオリンの一般的なイメージとして、どうしても価格が高いといった先入観があると思います。私の方では、当たり前のようにきれいな音が出て、なおかつ扱いやすい価格のバイオリン制作法を開発しましたが、そういった先入観が強いため理解を得ることが大変でした。
京焼・清水焼の技能継承者からバイオリン塗装の道へ
インタビュアー)
先入観というのは難しい部分ですよね。もともとはバイオリンの制作・修復をされていたわけではないとお伺いしたのですが、何か出会いやきっかけがあったのですか?
築地先生)
もともとは京都で京焼・清水焼の技能継承を受けていました。その陶芸のお客さまで「バイオリン」に関心がある方がおられ、その方と毎日のように集まり音が良く飛ぶ楽器の特徴の定義や、塗装の違いなど、さまざまな議論をしていました。その後、試作品というよりアイデアを持ってフランス(パリ)の方でさまざまな方と議論し、新技術でのバイオリン塗装を日本で行うようになりました。
技術者として不自由を自由なものに
インタビュアー)
バイオリンという楽器に対して技術者としての魅力を感じられたのですね。困難があっても活動を続けている理由を教えてください。
築地先生)
きっかけとなったのが京焼・清水焼の技能継承後にノウハウの交換としてアメリカに向かったことでした。当時、アフガニスタン紛争が始まっており、最初の生徒さんが戦死を前提に生きていらっしゃる兵士の方のご家族でした。そういった場所で、ものづくりを通した癒やしを提供する活動「自由の守護者(心の不自由を自由にする)」を行っていました。その経験から、バイオリンの制作でも工学と技術によって、扱うのが難しいようなことを水や空気のような誰もが扱いやすいものとして提供し、癒やしを提供することができればと思い、活動を続けております。
低コストでよりきれいな音を奏でる新技術
インタビュアー)
ご自身の経験が現在のバイオリン塗装にも活かされているのですね。どんな方の受講が多いのでしょうか?
築地先生)
まだ受講は行っておらず予約の段階ですが、現時点ではバイオリンを習われているお子様が多いです。理由としては、保護者の方からすると、「大事に・長く使ってほしい」という想いがあるためだと思います。バイオリンには、子ども用(分数バイオリン)から大人用(フルサイズバイオリン)があります。バイオリンのサイズは身長が基準となるため、約140cmからは大人用バイオリンを扱います。初めてのフルサイズ(大人用)で安くても約30万円からの値段となるので大変コストがかかります。しかし、私のところではリペアを中心に行うことによって低コストを実現しています。新技術のバイオリンを熱心に使っていただけるのは、従来に比べよりきれいな音が出しやすくなったせいかと自画自賛しているところです。
インタビュアー)
どうしてもバイオリンと聞くとコストがかかるイメージがありますが、築地先生の新技術では低コストできれいな音を出すことが可能なんですね!教えるときに大事にしていることは何かありますか?
素直に褒めることで伸びる才能
築地先生)
お子さまだと感受性が高いので、素直に思った通り褒めることを大切にしています。親子ではなかなか褒めることができないことがあると思います。実体験として、ヨーロッパで小学5年生から褒めていた子が国際コンクールで優勝したことがありました。
インタビュアー)
国際コンクールで優勝されたんですか!ずばり、バイオリンの修復や制作の魅力とは?
築地先生)
バイオリンは中世の発明品とされていますが、何のための仕組みなのかは知られていません。そこで私は人間のようにハミングするための装置であるという起源の仮説を立て、特殊塗装によって人体に似せた骨格を持つ設計にしています。リサイクルをしていますが、その一つひとつの構造の工夫により、組み立てたときに格別なサウンドになってよみがえったとわかる瞬間が楽しいです。
おけいこタウンには新しい発見がある
インタビュアー)
そもそものバイオリンの起源について考えられたのですね!格別なサウンドでよみがえるのは大きな魅力ですね。次にサービスとしておけいこタウンのいいところは何でしょうか?
築地先生)
異分野でのコラボなどで新しい発見があるのではと思います。統合型となると期待以上の新しいことが出てきそうで楽しみです。上手下手より、何の試みをするかだと思っています。
インタビュアー)
ありがとうございます!新しい発見がある場所になれればと思います。継続的に使って頂いている理由について教えてください。
築地先生)
個人的に月1回は海外から福岡に帰ることを欠かしたことがなく、できるだけおけいこタウンのイベントなどの参加を心がけています。文芸の道を歩む者として、同じところに住んで視野を共有するためです。月1回は地元福岡で日本での問題点の意識をずれないようにしています。
新技術のバイオリンをもっと知ってほしい
インタビュアー)
問題点を洗う意識から継続的に参加されているのですね。今後、どんなふうになっていきたいか展望などありましたら教えてください。
築地先生)
冒頭で申し上げた先入観を変える、バイオリンが手の届きやすいものであること、そして、水や空気のようにはるかに扱いやすいものになったことが広まってほしいです。均質に高品質のバイオリンの提供が可能となっていますので、イベントでオープンに展示してどんどん触っていただけるようになりました。
福岡県認定新商品で手が届きやすい価格に
インタビュアー)
最後にご自身の講座のPRをお願いします。
築地先生)
弊店の技術の特徴は、自然で素直な発音で、音に芯があり伴奏に負けず奏者を際立てる特徴の響きです。福岡県認定新商品でもあり、かつ価格面でも手が届きやすいです。ぜひ、一度お試しください!
インタビュアー)
インタビューでは築地先生の技術者としてのさまざまな想いをお届けできたと思います。お忙しい中、ご協力ありがとうございました!
築地先生)
はい、ありがとうございました。