NISA・つみたてNISA・iDeCo、それぞれの違いとは?メリット・デメリットもご紹介!
退職金制度がない個人事業主。将来のためのお金は自分で用意しなくてはなりません。ただ、現在は預貯金をしても増えるのはごくわずか。そこで検討したいのが「投資」ですが、お得に投資する方法をご存知でしょうか。
この記事では、お得に投資したい方のために、「NISA」「つみたてNISA」「iDeCo」という3つの制度をご紹介します。特徴やメリット・デメリットを把握して自分に合った投資方法を探してみてください。
NISA・つみたてNISA・iDeCoとは?特徴をチェック!
NISA・つみたてNISA・iDeCoは、投資で利益が出た際にかかるはずの税金が非課税になる制度です。お得に投資をしたいのならば、ぜひ知っておきたい制度ですが、それぞれの特徴をご存知でしょうか。
NISA・つみたてNISA・iDeCoお得な制度を知っておこう!
まずは、それぞれの特徴を表で確認してみましょう。
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
|
投資可能年齢 |
20歳以上 |
20歳以上 |
20歳以上60歳未満(※1) |
投資可能商品 |
株式・投資信託・ETF・REIT |
長期・分散・積立投資に適したと認められた投資信託 |
定期預金・投資信託 |
投資可能年数 |
最長5年 |
最長20年 |
原則60歳まで |
非課税で投資できる金額 |
年間120万 (最大600万円) |
年間40万 (最大800万円) |
年間14万4,000円~81万6,000円 (※2) 累積投資額の制限はなし |
非課税範囲 |
譲渡益・分配益・配当金 |
譲渡益・分配金 |
譲渡益・分配益 拠出金は全額所得控除 |
受取時の税優遇 |
なし |
なし |
公的年金控除 退職金控除 |
運用途中での売却 |
可能 |
可能 |
60歳まで原則不可 |
注意点 |
つみたてNISAの併用不可 iDeCoとの併用は可 |
NISAとの併用は不可 iDeCoとの併用は可 |
NISAもしくはつみたてNISAとの併用可 |
※1.厚生年金保険加入、iDeCo加入資格がある場合は20歳未満でも加入可
※2.自営業、公務員、会社員など、加入資格によって投資可能金額は異なる
※確定申告は不要です。
NISA・つみたてNISA・iDeCoに投資するときに確認したいこと
表でそれぞれの特徴を確認しましたが、注意しておきたいこともあります。まずは、「NISA」と「つみたてNISA」は併用できない点です。投資を始める際は「NISA」「つみたてNISA」どちらかにするかをはじめから決めておく必要があります。
また、iDeCoはNISA・つみたてNISAと違い、自営業・会社員などの加入資格により、拠出限度額が違うという点です。例えば、公務員の場合、月額1.2万円が限度額ですが、自営業では6.8万円となります。iDeCoは投資資金に余裕がある場合でも、職業によっては投資できる上限がある点を覚えておきましょう。
分配金・配当金・譲渡益が非課税のNISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAについてさらに詳しく考察してみます。メリットやデメリットについても把握しましょう。
NISAのメリット・デメリット
NISAとは「少額投資非課税制度」の略です。株式や投資信託などに投資した場合の売却益・分配金・配当金にかかる税金が非課税になるというものです。
通常、投資で利益が出た場合、約20%の税金がかかります。例えば、10万円の利益が出た場合、約2万円は税金として徴収され、手元に残るのは約8万円ということになります。しかし、NISAで投資した分に関しては10万円がすべて手に入るというわけです。
では、NISAに投資する際のメリット・デメリットについても確認してみましょう。
NISAのメリット
NISAのメリットは、以下の通りです。
- ・非課税投資が可能になる
- ・非課税で投資できる商品が幅広い
- ・購入回数の制限なし
NISAのいちばんのメリットといえるのが、非課税で投資できる商品が幅広いという点でしょう。株式・投資信託・ETF・REITなどの投資でNISAの利用が可能です。また、年間の非課税枠である120万円までであれば、購入回数に制限がありません。
NISAのデメリット
NISAにはデメリットもあります。
- ・他の口座で発生した損益と損益通算ができない
- ・期間が5年間と短い
- ・投資の結果次第で損失が出る可能性もある。繰越控除不可
- ・つみたてNISAとの併用不可
複数の口座で投資を行う人が、口座Aでプラス10万円、口座Bでマイナス15万円という結果が出たとします。その場合はトータルではマイナスになるため、税金はかかりません。しかし、NISA口座での損益は他の口座と通算されません。例えば、NISA口座でマイナス15万円、他の口座でプラス10万円となった場合は、10万円に税金がかかってしまうというデメリットがあります。
また、NISA適用期間は5年間と比較的短期間です。5年を過ぎたら課税される証券口座に移動するか、翌年の非課税投資枠を利用する「ロールオーバー」を利用しなければなりません。
NISAでは、もし損失が出たとしても繰越控除ができない点も把握しておいてください。
つみたてNISAのメリット・デメリット
つみたてNISAは少額・長期・積立・分散投資のための制度です。投資対象は手数料が低く分配金が頻繁に出ない一定の投資信託となっています。NISAとは違い、株式への投資はできません。
つみたてNISAも一般NISAと同様、売却益等が非課税となります。
つみたてNISAは投資期間が20年と長期間となっています。数か月で利益を得るような運用ではなく、じっくり積み立てながらお金を増やしたい人向きの運用方法といえるでしょう。
つみたてNISAのメリット・デメリットをご紹介します。
つみたてNISAのメリット
つみたてNISAのメリットは、以下の通りです。
- ・投資対象はコストの低い投資信託のみ
- ・20年と非課税期間が長い
- ・積立なので投資タイミングを考える必要がない
- ・少額から投資できる
つみたてNISAは「毎月」「毎週」など、自動的に積み立てられます。そのため、投資タイミングを考えずに済むのがメリットといえます。金融機関によっては100円から投資できるため、現在投資資金がそれほどないという場合でも始めやすくなっています。
また、投資対象は手数料の低い投資信託です。コストがさほどかからないのも魅力といえるでしょう。
つみたてNISAのデメリット
つみたてNISAのデメリットは、以下の通りです。
- ・投資対象は決められた投資信託のみ
- ・金融機関ごとに取扱商品が違う
- ・損益通算や繰越控除ができない
- ・損失が出ることもある
- NISAとの併用不可
つみたてNISAの投資対象は決められた投資信託のみです。金融機関ごとに取り扱う商品も違いますので、口座を開設する前にホームページ等で取扱商品を確認しましょう。なお、NISAとの併用もできません。
老後資金作りに最適なiDeCo
NISA・つみたてNISAと同様に非課税で投資できるiDeCoとはどのような制度なのでしょうか。
iDeCoの特徴
iDeCoは「個人型確定拠出年金」の略称です。個人型確定拠出年金は加入が任意の私的年金制度となっています。「公的年金だけでは老後の生活が不安」という人におすすめの投資です。
年金といわれるだけあり、加入期間は原則20歳~60歳まで、引き出しも60歳までは原則不可となっています。そのような理由もあり、数年後に使う資金を運用したい人には向かない制度となっています。
また、投資限度額は加入資格により異なるのも特徴です。詳しくは、以下をご覧ください。
加入資格 |
掛金 |
自営業者 (第1号被保険者) |
月額6.8万円 |
会社に企業年金がない会社員 (第2号被保険者) |
月額2.3万円 |
企業型DC(※1)に加入している会社員 (第2号被保険者) |
月額2.0万円 |
DB(※2)と企業型DCに加入している会社員 (第2号被保険者) |
月額1.2万円 |
DBのみに加入している会社員 (第2号被保険者) |
月額1.2万円 |
公務員等 (第2号被保険者) |
月額1.2万円 |
専業主婦・主夫 (第3号被保険者) |
月額2.3万円 |
※1.DC:確定拠出年金
※2.DB:確定給付企業年金、厚生年金基金
おけいこの先生の仕事のような個人事業主は原則第1号被保険者に該当するため、月額6.8万円まで掛金を拠出することができます。国民年金だけでは将来の生活費が心配という人は検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみにiDeCoは「国民年金基金」との併用も可能です。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットをご紹介します。
- ・自分で老後資金の運用先が決められる
- ・掛金は全額所得控除対象
- ・運用益が非課税
- ・受取時にも税優遇が受けられる
iDeCoは運用先を自分で決めることができます。この点が、公的年金や国民年金基金と大きく異なる点でしょう。運用先は積立に向いた一定の投資信託ですが、元本確保型商品も選択可能です。
「利益を狙って、ある程度リスクの高い商品で投資する」「利益はそれほど追わず、元本を確保して確実にお金を貯める」など、自分のニーズに合った投資ができます。
iDeCoでは税制優遇も見逃せません。掛金の全額所得控除、運用益非課税だけでなく、受取時には次の控除があります。
- ・年金として受け取り:公的年金等控除
- ・一時金として受け取り:退職所得控除
iDeCoのデメリット
iDeCoでの運用を決める前に、デメリットも知っておきましょう。
- ・60歳まで原則引き出し不可
- ・加入資格により投資可能金額が決まっている
- ・金融機関によって取扱商品が違う
- ・運用次第で損失が出ることも
iDeCoの大きなデメリットは、60歳まで原則引き出しができないという点でしょう。「子どもの教育費のため」「車の購入資金に」という使い方はできません。あくまで「老後資金形成」のための投資となることを留意しておいてください。公的年金とは違い、運用商品や運用成績次第で損失が出る可能性がある点も確認しておきましょう。
また、加入資格により投資可能金額も決まっています。個人事業主の場合はいちばん高い上限額である月額6.8万円が設定されていますが、それよりも高い金額の投資はできませんので注意してください。
なお、iDeCoもNISA・つみたてNISAと同様に金融機関によって取扱商品が異なります。口座開設前に各社を見比べましょう。
まとめ
NISA・つみたてNISA・iDeCoはこれから積極的にお金を運用していきたいという人にはおすすめの制度です。「今ある資金をどのように運用したらいいのか分からない」というならば、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、運用期間や運用商品、投資ができる金額などはそれぞれの制度で異なります。自分のニーズに合わせて選ぶようにしましょう。また、NISA・つみたてNISA・iDeCoは改正により内容が一部変更されるものや、今後改正等が行われることが予想されますので、最新の情報を確認してください。
特に、これから先生として独立したい人は第2号、第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えだけでなく、お金のことも考えていかなければなりません。おけいこタウンで教室開校サポートやスペース提供サービスの利用を検討するのと共に、NISA・つみたてNISA・iDeCoなどを活用しての将来のお金作りも検討してみてはいかがでしょうか。
【監修者プロフィール】
並木 一真(なみき かずま)
税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート
2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等、幅広く税理士業務に取り組んでいる。